2011-10-02 11:26:42 +0900
Founders at Work 33のスタートアップストーリーは結構ボリュームがあるので、暇を見て1章ずつ読んでいますが、Marimbaの共同創業者だったアーサー・ヴァン・ホフの話の中にありがちだけど示唆的なエピソードが。
(p.206)
第1ラウンドでもう1つ覚えているのは、小切手をもらったときのことです。弁護士がいて、クライナーがいるところで、私が「やった、これでエスプレッソ・マシンを買えるぞ!」と言ったので、彼らはみな飛び上がって、「だめだめ、このお金はエスプレッソ・マシンを買うためのものではなくて、会社を作るためのものですよ」と言いました。
やがて行き詰まりになるときが来ました。私たちは非常に倹約して、余分なものにお金を使わないようにしていましたが、IPOの後、マリンバにとって非常に調子の悪い時期がやってきました。そのときは人を雇うことがとても難しく、勤続3、4年になった初期からの人々が辞め始めました。士気が非常に低下したのです。私はCFOのところに行って、「エスプレッソ・マシンを買いたいと思います」と言いました。彼は、「いいえだめです。高すぎますよ」と答えました。
数週間後、また新たに上級エンジニアが辞めたときに、私は、「ちくしょう、こうなったらエスプレッソ・マシンを買ってくるぞ」と言いました。ジョナサンと私は、オンライン・ショッピングでイタリア製の超豪華な全自動のエスプレッソ・マシンを1万5千ドルでクレジット・カード払いで買い、請求書を回しました。CFOは、子どもの誕生を迎えようとしているところでした。これは、信じられないようなことでした。
業者が来てエスプレッソ・マシンを据え付けていきました。マシンはとても美しい、よいものでした。私たちの買い物としてはそれまでで最高だったと言うことができます。毎朝、人々がここに集まってきます。マシンは絶品で、社員はみなこれが気に入り、マシンの話をしないではいられませんでした。1ヶ月後、CFOが復帰して言いました。「申し訳ない。この買い物は数年前にしておくべきでした」この話は、どこで何にお金を使うべきかを教えています。仕事に関連したことだけにお金を使っていてはいけないのです。感じのよい環境を作り出し、社員が気持ちよく、大切にされていると感じるようにすることも大切なのです。
働く側からするとこれは至極当然のことではあるのですが、出資を受けた上でこういうことをする場合、どのあたりまで…というさじ加減が難しそうです。